Linuxにも障がいをもった方への支援機能が用意されている。これをアクセシビリティやユニバーサルアクセスなどと呼ぶ。
このページでは、Linuxのアクセシビリティについてどういった機能が用意されているか等、まとめてご紹介しよう。
目次
アクセシビリティとは?/ユニバーサルアクセスとは?
コンピュータを使っている人が全員健常であるとは限らない、ユーザの中には、なにかしらの障がいをもっている方もいるかもしれない。
例えば指先がうまくうごかせない、震えてしまう、弱視のため画面がみにくい、といった状態だ。Linuxは障がいをもったユーザにも使用出来るように、幾つかの支援機能がもりこまれている。
特にGNOME環境などではそういった支援機能が比較的多くみられる。これらの支援機能を「アクセシビリティ」もしくは「ユニバーサルアクセス」といい、それを実現するための技術をAT「Assistive Technology」という。
アクセシビリティを利用する場合は統合デスクトップ環境を使用したほうが、スムーズな支援が得られる。
アクセシビリティに関するソフトウェア
アクセシビリティに関するソフトウェアは数多く用意されている。
Orca
視覚障がい者のためのスクリーンリーダ、スクリーンの拡大機能などがある。
GOK
スクリーンキーボードを提供するGNOMEアプリケーション
GNOMEのユニバーサルアクセス
もしGNOME環境を使用しているのならば「アプリケーション」「システムツール」「設定」「ユニバーサルアクセス」の項目に主な、アクセシビリティを提供する項目が収められている。今回の例ではハイコントラストをオンにしている。
具体的なアクセシビリティ
ハイコントラスト
視覚障がい者のためにある機能で、コントラストを強調し、アイコンなどの判別をしやすくする機能
スクリーンリーダ
スクリーン上の文字などを音声などにして読み上げを行う機能
点字ディスプレイ
文字列を点字に変換、指で文字を認識出来るようにする端末
スクリーン拡大
スクリーンの一部を拡大表示するソフトウェア
スクリーンキーボード
スクリーン上にソフトウェアキーボードを表示し、マウスなどで入力する
キーボードのアクセシビティ
スティッキーキー
障がいによっては「複数のキーを同時に押す」ことが困難な場合がある。
たとえば「Control+p」などだ、この場合「スティッキーキー」を設定することで解決できる。スティッキーキーを有効にすると、ControlやShiftなどの装飾キーなどが、次のキーが入力されるまで押下されたままの状態になる。この状態を「ラッチ」という。
「Control+p」を押したい場合Controlを押したあと「p」を押すことで「Control+p」を押したのと同じ状態になる。「p」のキーを押したあとはラッチが解除され、通常の状態にもどる。
他にも「ロック」というものがある。例えば「2回連続でShiftを押す」とキーがロックされ「Shiftを押しつづけている状態」になる。解除するにはロックの状態でもう一度ロックしたキーを押すとロックは解除される。今回の場合はShiftキーだ。
また連続してShiftやControlなどが押された場合、複数の装飾キーが同時に押下されたとみなされる。
スローキー
正確にキー入力が困難なユーザにたいしての支援機能で、キーの押下を認識するまでの時間を遅らせるなど、キー認識を調節する支援機能。
バウンスキー
誤って連続的にキーを入力しても、連続入力を無効化する機能だ。誤ってキーを押し続けてしまう場合にも有効な支援機能となる。
トグルキー
NumLockなどが有効な場合通常キーボード上のLEDなどが点灯するが、その認識が困難な場合、かわりにビープ音をならす機能だ。オンのときは1回、オフのときは2回ビープ音をならすようになっている。
マウスキー
マウスのかわりにテンキーを使用してマウス操作する機能、マウスをうまくあつかえない場合に有効な機能だ。ただしこれを利用すると割り当てのテンキーが、テンキーとして使用できなくなることに気を付けておきたい。
まとめ
このページではLinuxのアクセシビリティ・ユニバーサルアクセスについてまとめた。
LPICの試験範囲でもあり、ほとんど必ず1問は出題される。知っておき、できれば覚えてしまおう。