UnixもLinuxもどちらもコンピュータの土台となっているOSだ。両方のイメージが重なっている人も多いのではないだろうか?
どちらか一方使ったことがあればともかく、普通はどちらも「よくわからないけどエンジニアが使っていそうな何か」くらいのイメージになってしまっていると思う。
Linuxがこれだけ普及している現在、ITに関わっているのであればこれくらいの知識は持っておくと便利だろう。きっと知識として使える機会もある。
UnixとLinuxは親戚と言っていい。ただし、血のつながりはない。このページではUnixとLinuxの違いについて「初心者の方でもなんとなくわかるように細かいところは抜きにして」解説する。短い時間でわかるように、なるべく簡単に説明した。参考にしてほしい。
目次
そもそもUnixとLinuxとは?
UnixとLinuxの違いを説明する前に、それぞれの特徴を少し見ておこう。
Unix
UnixはOSの一種で、現存する中でもっとも古いOSのひとつだ。古いだけあって、色々なOSの土台になったOSである。特徴としては安全性が高く、また余計な機能が少ないので軽いことがあげられる。また、安いのも特徴だろう。
基本的には次のようなコマンド画面で操作する。
この黒い画面が、なんとなくのUnixのイメージだという人が多い。これはmacOSのコマンド画面だが、実はmacOSもUnixだ。
古いが、今でも独自の進化を遂げて、企業内や商品に使われ続けている。カーナビや携帯電話などにも使われているOSだ。
Linux
LinuxもOSで、こちらも色々なところで使われている。同じく黒画面で操作すると思っていい。実際には、Windowsなどと同じように、マウスで操作する画面も使えるが、とりあえずわかりやすいイメージを持っておこう。
こちらも安定的に動いて、費用がかからないというのが特徴だ。Linuxも色々なところで使われていて、例えばスマートフォンなどで使用されているAndroidはLinuxだ。
UnixとLinuxはとても似ている
見ていただいた通り、UnixとLinuxはとても似ている。
- 安定性が高くて
- マイナーなイメージがあって
- 黒い画面でキーボードだけ操作して
- 費用面でも優遇がある(Linuxは無料。Unixは高くなってはきてしまっているが)
- 企業で使われていることが多い
その通り、とても似ている。
なぜなら、LinuxはもともとUnixを参考にして作られているからだ。ストーリーの方が人の頭には残りやすいため、歴史を大雑把に振り返ろう。
UnixとLinuxの歴史
Unixの誕生
Unixは1969年にアメリカのベル研究所で開発された。当時OSという考え方そのものがとても新しかった。WindowsもmacOSもなかった。
もともとMulticsというOSをMIT、GE、ベル研究所とで共同開発していたのだが、途中でベル研究所は離脱し、GEのコンピュータ部門を買収したハネウェル社によって商品化された。しかし、商業的には成功とは言えなかった。
そして離脱したベル研究所がMultics開発中にはできなかったアイデアを生かして作られたのがUNICSというOSだ。ご存知の通り、Multi(マルチ)とは色々な分野とか多くなどを意味する。反対にUni(ユニ)というのは単一を意味する。ユニフォームなどがわかりやすいだろう。Multiを反省してUniにした訳だ。
UNICSは名前の通り、軽くて機能も少なくて使い易いOSだった。このUNICSが後々名前を変えて、Unixとなったという経緯がある。
このUnix、理由があって作り方のレシピを世界中に公開していた。高級レストランや老舗日本料理屋などを想像すればわかると思うが、その秘伝のレシピや秘伝のタレの作り方が無料で手に入るなんてことはあり得ない。
結果として、爆発的に人気が出た。
「自宅であの店の料理作って食べてみよう!」と同じように、「Unix使って、色々やろうぜ!」という流れになった。
また、そのうち「このレシピ、うちのレストランでも商品として提供しよう!」と同じように、「Unix使って商売しようぜ!」という流れになっていった。
(もはや秘伝ではないが)秘伝のレシピを作った側は当然面白くない。お金も入って来ないし、たくさん色々な種類のUnixが出てきて収拾もつかなくなった。
「それだったら、色々と制限かけさせてもらって、少しはお金払ってもらうよ」となりUnixはライセンス契約という形になっていった。
Linuxの誕生
ライセンス契約という言葉の響きでわかる通り、縛りがきつくなっていく。それにつれて、「Unix面倒臭い・・・」という気持ちがエンジニアたちの中で出てきた。
そこで登場したのがLinuxだ。
リーナス・トーバルズというフィンランドの天才大学生が発明したLinuxはUnixを真似て独自に開発したものだった。Linusが作ったUnixライクなOSということで、Linuxだ。
見た目や機能はUnixに似ているが、中身はリーナスのオリジナルだ。
「レシピと同じじゃない方法で、同じ感じの料理が作れたよ」とそんな感じだ。同じ方法ではないので、著作権には引っかからない。
また、リーナスはこのコードを無料で公開し、「気にせず、自由に使ってくれ」と公開した。世界中のエンジニアたちは熱狂した。熱狂するだけではなく、そのレシピを最高のものにするため、力を合わせて改良していった。
そうして高性能OSであるLinuxが誕生し、驚くほどの勢いで市場に広がっていった。
これがUnixとLinuxの大雑把な歴史の流れだ。なんとなくお分かりになっただろうか?
UnixとLinuxの違い
歴史を説明したので大体わかったと思うが、LinuxはUnixを参考にしてできたものだ。ゼロから作っているため、Unixと子孫という訳ではなく、血のつながりはない。しかし、親戚ではあるというような距離感だ。
UnixとLinuxのもっとも大きな違いは、その形態にある。
-
Unixは企業が開発して、知的財産権が企業に属している(Unixという名前を使わなければ無料でも使える)
-
Linuxはオープンソースでとにかく無料だし改変も配布も自由だ
これが大きな違いとなっている。
結論的には、親戚関係でライセンスのあり方が違うとだけ覚えておけばいいだろう。身も蓋もないが、これだけの理解でまずは構わない。
まとめ
このページでは、歴史とともにUnixとLinuxの違いを説明してきた。ストーリーを覚えておくと、忘れにくく、人に話せる場面も増える。
UNIXは引き続き企業のサーバーに使われ続けている。Linuxはオープンソースの代表格となり、今でも多数のエンジニアがボランティアで開発を進めている。
どちらも利用され続けているOSで、すぐになくなるということもまずない。特にLinuxは企業案件での利用が急激に進んでいる。
UnixとLinuxの詳細を知らなくとも、違うものだという認識を持っているだけで違うはずだ。ぜひこのページを参考に、UnixとLinuxの違いを説明できるようになって頂ければと思う。
Linuxの歴史は省略したが、下記で詳しく説明している。こちらもご参考に。
期待していたのと全然違った。
閲覧いただきありがとうございます。
どのような内容をまとめて欲しい等ありましたら、ぜひご返信ください。別の記事でまとめさせていただきます。
一番大事ななぜ優れて安定してるかがすっぽ抜けてます…
俺もそれが一番知りたいわ!
高負荷かけたときにUnixの方がLinuxよりも圧倒的に安定するの??わざわざお金かけてUnixを使う理由は何ですか?
コメントありがとうございます。多くの場合Unixを使う理由は「これまでも使っていて、そこで動いているソフトがあるから」と「サポートを受けたいから」です。もちろん各社で色々な理由がありますので一概には言えませんが。安定性的には現在ではUnixもLinuxもあまり変わりません。
わかりやすい説明ありがとうごぞいます、とても分かりやすかったです!
類似した記事は両者の技術的な側面の違いにフォーカスするものが多く、肝心のなぜ似たようなのが二つあるのか?という点が省略されたりして頭に入ってこなかったので、助かりました。
嬉しいコメントありがとうございます。引き続きご拝読のほどよろしくお願いします。
3分間で人に説明出来るアウトラインが判りました。
素人にはこれだけの情報があれば十分です。
ありがとうございました
ご拝読、また嬉しいコメントをありがとうございます。
身も蓋も内が、これだけの理解でまずは構わない。
内が間違ってますよ。
ご指摘ありがとうございます。修正させていただきました。またご指摘ありましたら、ご連絡いただければ幸いです。
非常にわかりやすかったです!
ありがとうございます。引き続きご愛読いただければ幸いです。
Win10を使いたくなくてLinuxに乗り換えようかと思ったはいいが全然知らなくてググって探してたらここに来ました。
ホントに大まかですがw歴史というゼロの部分からの説明が分かり易くて良かったです。
ここに書いてある内容だけでも益々Linuxに興味が湧きました。もっと詳しく勉強したいです。ここから徐々に詳しい説明を作ってリンクを貼ってもらえると嬉しいです。
「サルでもわかるLinux」wwをお願いします<(_)>
嬉しいコメント、ありがとうございます。Linux入門というメニューをクリックしていただけますと、関連する記事が出てくるかと思います。ご参考いただけますと幸いです。
UNIXの特徴に「また余計な機能が少ないので軽いことがあげられる。」とありますが、どのUNIXの話ですか?今のSolarisは動作が軽いなんて聞いたことないですね。
何を持って余計な機能なのか。余計な機能が少ないから軽いってのは、言いかえれば不要な機能を起動しているってことですよね。そうなれば、OSに依存する話では無いように思います。
MacOSがUNIXから派生したOSってありますけど、POSIXに準拠した、正式なUNIXですよ。
Linuxの説明も、いきなりLinuxをOSと言い切ってますけど、正しくはカーネルの名前ですよね。
UNIXに興味ない相手に説明するなら、細かく言及されないでしょうから、この程度の説明で良いって話だったですか。
コメントありがとうございます。修正したしますね。
筆者が意味記憶と知識記憶の違いを理解している。
ストーリーを説明する人は聡明。
このWebサイトの他のコンテンツも読んでみたいと私に思わせるには十分な記事。
Wordpressが普及した今、主観的で要領えを得ない記事が多い中、説明上手な方の記事は財産といってもいい。
筆者は地頭が良いのだと思う。
こういう人がうちのプロジェクトに来てほしい。
欲しい情報が無い旨のコメントも散見されるけど、
それは他のWebサイトを見れば良いことだと思う。
非難するわけではなくて、記事にはそれぞれ固有の役割があることがその理由。
予備知識ゼロの人に『概念』を説明するときは、概略→概要の順番で説明するのが肝要。
葉の説明をする前に木。
木の説明をする前に森。
相手に『感覚』を掴ませる前に、概要を伝えにいくのは愚者の行い。
理数に傾倒している人は、専門用語をこれでもかという並べ立て、概略を説明することなく、葉の説明を積み重ねていく。
こういうのは典型的な駄目な説明。
私はこの記事好きですよ。
文章が衒学的でないし自慰でもない。
なるべく分かりやすく伝えようという優しさが伝わってきます。
はじめまして、
最近普及しているOSはWindows系かUNIX系の2つしか
ではないだろうかと思ってるのですが、、
この結論は乱暴すぎますか(´・_・`)?
いつもご愛読いただきありがとうございます。
「最近普及している」という条件でしたら、その2つのカテゴリに分けられるという認識で問題ないかと思います。
詳しい方にとっては「いやあれがある」「更にこれがある」という話にもなるかもしれませんが、ざっくりとでしたら2つです。
PC上のOSって範囲なら乱暴とはならないと思います。
実際に使用されているOSの数で言えば、組み込み系のOSってのほうが圧倒的です。PCやスマホは、一般的な家庭にに10台も無いでしょうが、組み込み機器となると10台ぐらいあると思います。また車のような一つの製品に複数のCPUとOSが載っている機器もありますからね。
「現在ではもはや軽くは」が意味不明。
日本語でお願いします。
いつもご愛読いただきありがとうございます。
ご指摘の箇所ですが確かに「何が言いたいか今一つわからない」部分のため、一旦削除とさせて頂きました。
今後とも、ご愛読のほどよろしくお願いいたします。
なんか合ってそうで全然肝心な事を書いてない。
いつもご愛読いただきありがとうございます。
お読み頂いた際に「こういう事ではなく、ここが知りたかった」などの重視されていた点がありましたら、ぜひご教示頂けますでしょうか。
本記事の修正や、今後新たにUnix/Linuxに関する記事を掲載する際などに参考にさせて頂きますので、よろしくお願いいたします。
まとめ段落のところに脱字。
>特にLinuxは企業案件での利用が急激進んでいる。
急激「に」。
ご指摘いただきありがとうございます。
該当箇所を修正いたしました。
引き続き、ご愛読のほど、よろしくお願いいたします。
Multics はベル研究で開発されたのではなく GE や MIT などの共同開発でそこにベル研も参加していただけですし,重くて使いものにならないも間違いで Multics はベル研が手を引いた後も開発は続行されハネウェルが発売まで漕ぎ着けています。
Unix の開発は Multics への反省ではなく Multics 開発で思いついたアイディアを 実験するために生まれた,が正しいですね。
いつもご愛読いただきありがとうございます。
コメントいただきありがとうございます。一部箇所修正いたしました。
今後ともよろしくお願いいたします。
このような記事が検索のトップに出てくるのは看過できないので指摘しておきます。
間違っている箇所もあるかもしれませんが、ご承知置きください。
「また余計な機能が少ないので軽いことがあげられる。」
→機能が少ないとはどういうことでしょうか?Windows10などよりは充実していると思いますが?
「また、安いのも特徴だろう。」
→はて、どのUNIXが廉価なのでしょうか? Solarisのライセンスは1年、1CPUでUS$1,000ですが。
「カーナビや携帯電話などにも使われているOSだ。」
→UNIXを使用している具体例を教えてください。一昔前までならカーナビや携帯電話にはリアルタイムOSが多かったと記憶しています。最近ではどれもAndroidを採用しているものが多いかと思いますが。AndroidはLinuxですよね。
「AndroidのスマートフォンはLinuxだ。」
→スマートフォンは不要。入れるのであれば「スマートフォンなどで使用されいるAndroidはLinuxだ。」
「LinuxはもともとUnixを参考にして作られているからだ」
→大間違い。後輩がしたり顔でこんなことを言ってきたら説教コース。
Unixがライセンス問題によりソースコード非公開になってしまったとき、タネンバウム先生が教材用にUNIX-LikeなOSとしてMINIXを作った。MINIXはあくまで教育用で実用を目的としなかったことから、いろいろあってLinusが実用的なものをとLinuxを作った。(左の行き先ですら省略しすぎていると自分は思うが)だからLinuxが参考にしているのはMINIX。MINIXはUNIX version 7互換だから、LinuxとUNIXは似ているけれども、上記の書き方は乱暴すぎ。
それ以下はこれまでのコメントなどでも指摘されているので省略いたします。
あと、ご自宅で自身で使うのであればLinuxは無償といってもよいですが、商売に使うのであればその感覚を捨てた方がよいでしょう。どのようなものであれ、サポートをもとめるなら有償になります。RedHat然りCentOS然り。
いつもご愛読ありがとうございます。
また諸々ご指摘いただきありがとうございます。
一部箇所修正させていただきました。
冒頭にも記載ありますが、「初心者の方でもなんとなくわかるように細かいところは抜きにして」解説を行っているため、
細かい部分までご存知の方からするとかなり大雑把に見えてしまうかもしれません。
初心者の方でも読みやすいように極力専門用語を減らして、そのような意向で作成している旨をご理解いただければと思います。
引き続きよろしくお願い致します。
簡単に説明する事を趣旨としている記事に対して、なぜそんな厳密性を求められなくちゃいけないんだ?
「間違っている箇所もあるかもしれませんが、ご承知置きください。」と前置きしておきながら、説教コースだ!とか傲岸不遜にもほどがある。
敬体と常体の区別もつかないほうが説教ものだろう。
他人に厳密性を要求するならせめて参考文献ぐらい貼ったらどうなんだ。
とてもとてもとてもわかりやすかったです。
他のサイトでよく「サルにでもわかる」ってタイトルで書きながら
結局専門用語ばっかり、身近のものに例えるとかの工夫がなくて
呆れていました。
今回の記事もどうせ客集めのためのタイトルかなって思ってたら違ってました。
歴史もマンガをよんでるようで面白かったです!
そのように言っていただきありがとうございます。
記事作成の励みになります。
今度ともご愛読の程よろしくお願いいたします。
UnixとLinuxですが、ディストリビューションや派生のOSではなく、UnixとLinux自体をPCにインストールすることは可能ですか。ディストリビューションや派生のOSをUnixとLinuxと言ってるだけで配布していないのか、それとも存在自体していないのですか。いろんなサイト見ているのですが、よく違いが分かりません。
いつもご愛読いただきありがとうございます。
Linux単体だけですといわゆるカーネルのことを意味しますが、
それだけだとOSとして手軽に使用できません。
そのため、Linuxを利用しやすいように、
ディストリビューションを使っています。
ディストリビューションは、カーネルだけでなく、
アプリケーションなども含めたパッケージになっています。
引き続きよろしくお願いいたします。
Unixの勉強を始めたところでしたので、
比較の概略として参考になりました
ありがとうございましたー
超わかりやすかった!へぇ~、なるほどねぇ。
コメントの訂正指示があって、さらにへぇ~って思った。
まぁでも最初っからコメントの細々を記事内に入れて難易度を上げてしまっていたら、
わたしは見なかったかもしれない。
こんくらいの難易度で話の流れがスススーっとわかることがわかりやすくて良かったw