IT業界でクラウドとは、「クラウドコンピューティング」を指す。
では、「クラウドコンピューティング」とは何か?といわれると「漠然としていてわからない」という方もいるのではないだろうか?
このページではクラウドと、覚えておきたい関連用語についてお伝えしよう。今更聞けないという初心者の方に参考にしていただきたい。
クラウドとは何か?
クラウドの基本
正直に言って、クラウドと言っても特に新しい考え方というわけでもないので、混乱する必要はない。
普通のクライアントとサーバがあって、、、というインターネットと一緒だ。
クライアントとサーバという点において従来とは変化がない、クラウドを支えるインフラ技術に関してもネットワーク技術の応用だ。
大きく変化したのは「仮想化技術の応用」とその「利用の仕方」である。
クラウドコンピューティングとは「コンピュータ資源の利用形態」の一つだ。
「無尽蔵に用意されコンピュータ資源」(これが「雲」つまり「クラウド」)、そこから「サービスを必要な時に必要な分だけ利用する」というのがクラウドコンピューティングの重要な部分である。
インターネット越しにデータを取りに行く。ここは普通のインターネットだが、これに加えて「無尽蔵に」「必要な分だけ」という言葉が入ると一気にクラウドっぽくなる。
わかりにくいかもしれないのでもう少し具体的に
具体的にイメージするのならば、「水」がいい。
「ダム」というクラウドから「水道」というインフラを通し「蛇口をひねる」と「水というサービス」が提供される。
「水」を利用するとき我々はほぼ「水道」があるのがあたりまえで「ダム」にどれだけの貯水があるか?などはほぼ気にしていないはずだ。
意識するのは「蛇口」と「水」だけである。
同じようにクラウドにどれだけリソースがあるかは、クライアント側は意識しなくてよい。必要なときに水=サービスを受け、蛇口でその量つまり手元で使うリソースを調節し、使った分の対価を支払えばよいのである。
クラウドコンピューティングにおいて、サービスを利用するには、最低限「インターネット回線」と「端末」になるコンピュータが必要になる。
逆に言えば、それ以外のことは、サービス提供側が全て整備してくれる。とてつもなく楽で、便利だ。
クラウドコンピューティングによるサービス提供の簡単な例(メール)
ここでは単純な例として「メール」を見てみよう。
少し前までメールを受信するには、コンピュータ本体とそのOS、メールソフトを個別にインストールしメールソフトの設定、及びISPとの契約も必要だった。
メールをやり取りするだけでも手間がかかったわけだ。
メールを保存しているコンピュータも手元にあることが殆どだった。
もし手元のコンピュータがトラブルを起こした場合などメールが見れなくなるし、データがすべて消える可能性もあった。
このように全て資源を自分で管理することを、「オンプレミス」という。
反対に「Gmail」や「Yahooメール」では、ログインするだけで全ての機能が利用できる。
難しい設定などもない、そして全てはgoogleやYahooのサーバの上で厳格に管理されている。
Gmailの場合15GBまで無料であり、メールボックスの容量を増やしたい場合も、必要な分だけプランに応じて月額料金をはらうことになる。たとえば100 GB $1.99などだ。
Gmailなどこれらは「手元に管理する資源はなく」かつ「料金をしはらうことで簡単に資源とサービスを加減」できる。
ソフトウェアがサービスへ「抽象化」され「資源を変幻自在に利用」出来るようになっているのである。これはクラウドコンピューティングの特徴といえる。
なぜクラウドがこんなに流行っている?
クラウドが使われだした理由
率直にお伝えしよう。「楽だから!!」だ。
これまでは「企業の情報を外部で保存するなんて、怖すぎる!」という雰囲気があった。
しかし、徐々に徐々に、「内部よりも外部に預けた方が、セキュリティ技術的にも安全じゃないか?」という風潮が出てきた。その流れがここ数年で一気に進んだ形だ。
GoogleやAmazonなど、ITの大手企業が提供するサービスが増え出したというのも大きいだろう。信頼感が高く、自社で扱うよりも安くてリスクが低いというような状況になってきている。
クラウドのメリットとデメリット
クラウドのメリットは次の通りだ。
- サーバーやソフトにお金がかからない
- ランニング費用だけになり、初期費用がほとんどかからない
- すぐに構築できるので、試しに作ってみるというのが簡単
- スケールを大きくするのが簡単
- メンテナンスがいらないので楽
- IT部門が楽になる可能性も
反対に、デメリットは次の通りだ。
- カスタマイズがしにくい。また下で説明するSaaSなどではまったくできないことが多い
- サービス停止リスク。データを預けた会社がそのサービスをやめると非常に困る。これまでの資産をどうするかを考えないといけない
ただ、近年ではデメリットよりもメリットの方が上回ってきている。
例えば、世界No.1のモーターメーカーである日本電産では、自社サーバーをすべてAmazonWebサービスに乗り換えている。
業界全体として、間違いなくこの方向で進んでいくだろう。
クラウドで覚えておきたい用語たち
クラウド関連で、これだけは覚えておきたい用語たちをご紹介しておく。
SaaS(Software as a Service)
SaaSはインターネットにつながっていればサービスが使える状態を作ることだ。GmailやYahooメール、Facebookなんかもこれに当たる。一般の人が使うクラウドは大抵これだ。
基本的にソフトウェアは自分のコンピュータにインストールして使う。
その場合設定とコンピュータの管理、ソフトウェアの保守はユーザの手にゆだねられる。そのため管理の手間がどうしても発生する。
SaaSはソフトウェア管理、ハードウェア管理ともにサービス提供側に任せてしまえる。
サービス提供側は「ソフトウェアの機能」をサービスとして提供することになる。ユーザ側としては管理する手間がなくなる。
しかしユーザのわからないところにデータは管理されるようになる。そのためサービス提供側のセキュリティ管理能力に大きく依存することになるので、そこは注意が必要だ。
PaaS(Platform as a Service)
インターネット上でアプリケーションが動く「プラットフォーム一式を提供」するサービスをPaaSという。PaaSの上でシステムの規則に乗っ取り、アプリケーションの開発などが可能である。
「Google App Engine」などが代表的だろう。PythonやGO言語などでGoogle App Engine上でアプリケーションを開発、外部に公開できる。開発者はプラットフォームを整えるコストが省ける。
HaaS(Hardware as a Service)またはIaaS(Infrastructure as a Service)
仮想化技術を利用し「ハードウェアレベルのものサービスとして提供」するのがHaaSまたはIaaSである。
提供するサービスはコンピュータリソースを始め、ネットワークスイッチやルータなども選択できる、またOSのイメージファイルなどを指定して任意のOSをインストールし使用することも可能だ。
管理者はハードウェアのトラブルなどを考慮する必要がなくなり、管理コストが削減できる。
パブリッククラウドとプライベートクラウド、ハイブリッドクラウド
別の方面の用語もお伝えしておこう。
パブリッククラウド
普通に使うインターネット経由のサービスは全部これだ。
一般的なインターネット空間に設置されているサーバを使っているクラウドは「パブリッククラウド」と呼ばれる。
個人、法人、集団の利用問わず、だ。
レンタルサーバサービスなども一見プライベートなものにみえるが、これも一般的なインターネット空間に展開されているためパブリッククラウドだ。
このためオンプレミスなシステムとくらべたときにセキュリティの確保が課題となる。
プライベートクラウド
これは一定以上の規模をもった企業もしくは組織がクローズドなネットワーク空間に「資源をクラウド的に運用」するときに使われる用語である。
要はダムを自社で構築し運用管理しているという意味になる。
そのため一般のユーザはプライベートクラウドに触れる機会はほぼない。
プライベートクラウド環境を構築するための企業も存在する、この場合構築とサポートはアウトソーシングとなる。
ハイブリッドクラウド
「オンプレミス」な「プライベードクラウド」と「パブリッククラウド」の特性をあわせ持つ運用の仕方を「ハイブリッドクラウド」という。
機密データや個人情報などを扱うシステム、セキュアにたもたなければならない情報を自社のプライベートクラウドで運用し、処理量が大きく変動するシステムや一時的に必要となるシステムをパブリッククラウドで運用することで、双方の利点をいかした環境が構築できる。プライベートクラウド環境を構築するための企業がアウトソーシングとして受けもつことが多いだろう。
まとめ
このページではクラウドについてとその用語についてご紹介した。
今後クラウドというワードはより一般用語になっていくはずだ。ぜひ話の中身が理解できるように理解してしまおう。
また、クラウドが広まっていくと、運用するサービスは増えていきLinuxのニーズは高まっていく。構築は楽になるが、結局運用やスケールにはLinuxの知識が必須だ。
Linuxに関してもぜひ勉強していただきたい。
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