aliasコマンドはコマンドを別名で登録または、登録されている内容を確認するLinuxコマンドだ。
このページではaliasコマンドの基本的な使い方の解説と、便利な応用例をご紹介する。
便利なコマンドなので、この機会に覚えておいてほしい。
目次
aliasコマンドの基本
すでに登録されているaliasを一覧で表示する
aliasコマンドを単独で叩くと、コンピュータに登録されている別名の一覧を表示する動きになる。
$ alias
別名の一覧が表示された。
一覧の中ではls -lコマンドがllコマンドと入力するだけで実行されるようになっていると表示されている。
llコマンドが登録されているLinuxディストリビューションは多い。入っていない場合は入れておいた方が便利だ。入れ方は後ほどお伝えする。
実際に入力してworkディレクトリの内容が表示されるか確認してみよう。
$ ll work
ls -lが実行されworkディレクトリの内容がリスト形式で表示された。
コマンドを別名で登録する
コマンドを別名で登録するには、次のコマンドだ。登録するコマンドは、シングルクォーテーションで囲む。
$ alias 登録名=登録するコマンド
confと入力すると、workディレクトリ内のconfig.datの内容を表示できるようにするには、次のコマンドだ。
$ alias conf='cat work/config.dat'
workディレクトリ内のconfig.datの内容を表示するコマンドがconfに登録された。
実際に確認してみよう。
$ alias
confとしてcat work/config.datが登録されている。
実行してみよう。
$ conf
workディレクトリ内のconfig.datの内容が表示された。
上記のコマンドを試すなら次のコマンドを実行すれば動作を確認できる。以下も同様だ。
1 2 3 4 5 |
mkdir work echo 'filename=test.dat' > work/config.dat alias conf='cat work/config.dat' alias conf |
aliasコマンドの便利な使い方
aliasコマンドの基本は掴んでいただけただろうか?
続いて、aliasを応用した便利な使い方を紹介する。
aliasコマンドで複雑なコマンドを一度に実行する。
m1として、dataディレクトリを作成し、その中にtest01.datとtest02.datの2つのファイルを作成し、確認するコマンドを登録する。
下記のように複数のコマンドを続けることもできる。
$ alias m1='mkdir data;touch data/test01.dat;touch data/test02.dat;ls data'
登録内容を確認してみよう。
$ alias
m1にmkdir data;touch data/test01.dat;touch data/test02.dat;ls dataが登録された。
次のコマンドで、ディレクトリwork1を作成する。
$ mkdir work1
作成したwork1ディレクトリに移動する。
$ cd work1
登録したm1コマンドを実行する。
$ m1
m1が実行され、test01.datとtest02.datが作成された。
一度上位ディレクトリへ移動する。
$ cd ..
次のコマンドで、ディレクトリwork2を作成する。
$ mkdir work2
作成したwork2ディレクトリに移動する。
$ cd work2
登録したm1コマンドを実行する。
$ m1
m1が実行され、test01.datとtest02.datが作成された。
これでwork1ディレクトリとwork2ディレクトリのそれぞれにdataディレクトリとtest01.datとtest02.datのファイルが作成されているはずだ。
上位ディレクトリへ移動する。
$ cd ..
work1ディレクトリを確認してみよう。
$ ls -R work1
ディレクトリとファイルが作成されている。
work2ディレクトリも確認してみよう。
$ ls -R work2
work1ディレクトリ同様、ディレクトリとファイルが作成された。このように違うディレクトリに対して、同じような操作を行うときに便利だ。
上記のコマンドを試すなら次のコマンドを実行すれば動作を確認できる。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 |
alias m1='mkdir data;touch data/test01.dat;touch data/test02.dat;ls data' rm -fr work1 rm -fr work2 mkdir work1 cd work1 m1 cd .. mkdir work2 cd work2 m1 cd .. ls -R work1 ls -R work2 |
変数を使ったaliasの応用
ここでは、変数をaliasの中に組み入れてHTMLソースを作成してみる。HTMLがわかるわからないはあまり関係ないので、気にせずに読み進めて頂ければと思う。
htmlコマンドとして、workディレクトリ内に次のようなHTMLファイルを作成するコマンドを登録する。
$ alias html='echo -e "<html>\n<head><title>Abot $t</title></head>\n<body>\n<h1>About $t</h1>\n</body>\n</html>" > work/$t.html'
登録内容を確認してみよう。
$ alias
変数tの値をlinuxに設定する。
$ t=linux
先ほど設定したhtmlコマンドを実行する。
$ html
ファイルが作成されたか確認する。
$ ls work
変数tの箇所がlinuxに置き換わり、linux.htmlファイルが作成されている。
ファイルの内容も確認してみよう。
$ cat work/linux.html
ファイルの内容も変数tの箇所がlinuxに置き換わっている。
更に変数tの値をcommandに設定する。
$ t=command
先ほど設定したhtmlコマンドを実行する。
$ html
ファイルが作成されたか確認する。
$ ls work
変数tの箇所がcommandに置き換わり、command.htmlファイルが作成されている。
ファイルの内容も確認してみよう。
$ cat work/command.html
ファイルの内容も変数tの箇所がcommandに置き換わっている。
このように一部分だけ違う操作をする場合でも変数を組み合わせて簡単な操作でいくつもの成果を出すことができる。
今回はHTMLを使ってみたが、もちろん何にでも使える。
上記のコマンドを試すなら次のコマンドを実行すれば動作を確認できる。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 |
alias html='echo -e "<html>\n<head><title>Abot $t</title></head>\n<body>\n<h1>About $t</h1>\n</body>\n</html>" > work/$t.html' alias rm -fr work mkdir work t=linux html ls work cat work/linux.html t=command html ls work cat work/command.html |
aliasコマンドの解除方法
aliasコマンドの解除にはunaliasコマンドを使用する。詳しくは下記ページで紹介している。
aliasコマンドの有効期間
aliasは、ターミナルの画面を閉じる、ログアウト、コンピュータのシャットダウンでリセットされる。
もしも永続的に登録しておきたいのであれば、viエディタなどでalias一覧を登録しているファイル~/.bashrcに追加したいコマンドを記述すればできる。
関連項目
unaliasコマンド
aliasコマンドで設定した別名を解除する。
まとめ
aliasコマンドを使えば、何度も行うLinuxの作業を短いコマンドに置き換えることによって効率的に作業を行うことができる。
しかし、共用で使っているコンピュータでは、自分だけがわかるような登録名で登録していると、他の利用者にとっては混乱するかもしれない。登録したものは全員が把握できるようにしておくと良いだろう。
aliasコマンドは利用すれば作業効率が上がるケースが多い。ぜひ積極的に使用してみてほしい。
コメント