このページを見ている方の多くはLPIC Level1を見事合格したのだと思う。すばらしい。
さて次なる課題としてLPIC Level2がある、LPIC Level2はあなたが「Linuxに関しての上級技術者」であることの証明になる、Linux技術者として活躍するのならば、ぜひとも取得しておきたいところだ。
もしかしたら「LPIC Level2は難易度が高いのでは?」という不安を抱いているかもしれない、確かにLPIC Level1と比べ全体の難易度は高くなっている、実際にサーバーを構築するなど問われる内容は高度だ。しかしキチンと学習すれば、合格が狙える試験となっている。
このページではLPIC201を2週間、通常の想定される時間よりも短期間で受かるための対策方法をまとめている。参考書やスケジュールをぜひ参考にしてほしい。
目次
まずはLPIC201の基礎を理解する
そもそもLPIC201とは?
LPIC201とは、LPIC Level2資格のひとつだ。
「LPIC Level2に合格しました」と認められるには、LPIC201とLPIC202の試験の両方に合格する必要がある。
LPIC Level2はLinuxの高度な管理や、サーバー環境構築管理、初級管理者への助言ができることが最終目的となる、そのなかでLPIC201はLinuxの高度な管理がメインだ。LPICレベル1に比べLinuxカーネルのコンパイル、起動プロセスのカスタマイズ、ソースからプログラムをmakeインストールするなど、高度かつ実践的な内容となっている。
受験の前提は?
LPICは下位資格を持っていないと上位資格を受けることができない、よってLPIC101とLPIC102に合格し、LPIC Level1を取得していることが前提となる。
また、LPIC Level2の取得にはLPIC201とLPIC202どちらを先に受けても問題ない。両方を一度に受ける人もいる。しかしリスキルテクノロジーでは別々に受けることをすすめている。個別に受験した方がそれぞれの理解度も深くなり、結果効率的だからだ。
LPIC資格における有意性の証明
LPICには「有意性」の証明がもうけられている、これはlinuxという技術変化の激しいものに対して、常に最新の技術に対応するための措置だ。LPICは資格を取得後、5年間の有意性があたえられる、有意性を維持するためには5年以内に同じレベル若しくは上位の資格を取得する必要がある。
もしこの期限を越えた場合資格剥奪ではないが、その有意性が失なわれ、資格のステータスが「ACTIVE」から「INACTIVE」に変更される。「INACTIVE」を「ACTIVE」に戻すには再度Level1から受けなおす必要がある。
上位資格を獲得する予定であれば、金銭的にも学習コスト的にも「ACTIVE」を保とう。
LPIC201の受験費用は?
LPIC201受験費用は15,000円(税抜)となっている、LPIC202も同額だ。そのためLPIC Level2自体は30,000円(税抜)の受験費用がかかる。
受験費用は、クレジットカードでの前払いだ。
キャンセルは1日前まで受け付けてくれる。予定が合わなくなったら、キャンセルや変更は可能だ。ただし、LPICLevel1の時と同じく、自分自身に強制感をもたせ「目標を達成する」という意味で、「勉強不足」を理由でキャンセルはやめるべきだ。
試験実施方式
前回の試験で流れは掴めていると思うが、試験は前回と同じCBTの方式、日程はテスト会場の場所と日付を任意で選択する、テスト会場へ持参物の持ち込みは不可になっている。
一度不合格になっても、翌日から起算して7日後から再度受けることが可能、3度目の受験からは30日空ける必要がある。
LPIC201の合格点
こちらもLPIC101やLPIC102と同じように、問題数は60問ある。問題数が前後する場合もあるが、大体の場合60問程度だと思ってもらって構わない。
合格点は約65%以上。2/3に当たる40問正解すれば合格だ。 得点範囲は200~800点だ。 そのうち500点に達すれば、合格となる。
試験時間
試験時間は90分。
選択式の問題が多いこともあり、時間が足りなくなることはまずない、30分以上余るだろう。なので最低でも1周は問題と解答を確認すること。
LPICに限らず、試験では、一つ一つ確認しながら見直しをすること、 問題文をよく確認し、出題の意図を汲み、取りくむことを意識してほしい。
勉強時間
LPIC201だけで見れば、一ヶ月程度勉強してからLPIC201を受けに行くのが標準的だ。
試験はじっくり勉強して臨むのがベストだろう、しかしこのページでは、時間がない、もしくは「とにかく早く受かりたい」という方のためにあえて2週間での勉強方法をお伝えしている。
ただし、ショートカットはない。正攻法だ。
受験方法
LPICのIDは既にお持ちのはずだ、ピアソンVUEで受験予約を行うことになる。予約は前日でも構わないが、自分の気を引き締め、目標意識を高めるために、先に受験予約をしておこう。
201の試験出題範囲
201の試験出題範囲は次のようになる。
2014年1月1日以降の出題範囲 201試験範囲:出題範囲詳細(Ver4.0)
主題200:キャパシティプランニング
200.1 リソースの使用率の測定とトラブルシューティング 重要度 6
200.2 将来のリソース需要を予測する 重要度 2
主題201:Linuxカーネル
201.1 カーネルの構成要素 重要度 2
201.2Linuxカーネルのコンパイル 重要度 3
201.3 カーネル実行時における管理とトラブルシューティング 重要度 4
主題202:システムの起動
202.1 SysV-initシステムの起動をカスタマイズする 重要度 3
202.2 システムのリカバリ 重要度 4
202.3 その他のブートローダ 重要度 2
主題203:ファイルシステムとデバイス
203.1 Linuxファイルシステムを操作する 重要度 4
203.2 Linuxファイルシステムの保守 重要度 3
203.3 ファイルシステムを作成してオプションを構成する 重要度 2
主題204:高度なストレージ管理
204.1 RAIDを構成する 重要度 3
204.2 記憶装置へのアクセス方法を調整する 重要度 2
204.3 論理ボリュームマネージャ 重要度 3
主題205:ネットワーク構成
205.1 基本的なネットワーク構成 重要度 3
205.2 高度なネットワーク構成 重要度 4
205.3 ネットワークの問題を解決する 重要度 4
主題206:システムの保守
206.1 ソースからプログラムをmakeしてインストールする 重要度 2
206.2 バックアップ操作 重要度 3
206.3 システム関連の問題をユーザーに通知する 重要度 1
過去の2013年12月31日までの出題範囲(Ver3.5)と比較すると「キャパシティプランニング」が新たに加えられ 「ドメインネームサーバ」の項目がLPIC202へ移動された。
LPIC201の難易度
試験内容はLPIC Level1と比べ実践的な内容になっている、LPIC Level1は広く浅くといったところだったが、LPIC201に関してはより深く求められる。LPIC Level1は書籍丸暗記でも何とかなったかもしれないが、LPIC Level2特にLPIC202に関しては実際にサーバーを構築してみないと覚えられないところが多い。そういったレベルをLPIC Level2は求めてくる。
最近はWindows上でもMac上でも、仮想マシンでLinux環境を作ることができる。実際にLinux環境を構築し学習することを強くお勧めしたい。
明確なマシンの状態把握も試験範囲だ。vmstat、ps、free、top、uptimeなどでメモリがどの程度消費されているか、システムがどれくらいリソースを消費しているかを把握する。マシンのレスポンスが悪い時に暴走したプロセスがないか?などのトラブルシューティングを行うときに必要な知識だ。
自力でのLinuxカーネル構築知識も求められる。ほとんどのディストリビューションではあらかじめ適切に設定、構築されたカーネルが導入されているが、SlackwareやGentooなどのディストリビューションは導入時、もしくはメンテナンスの時点で自力でのカーネルビルドが求められる。
高度なストレージ管理としてRAID構築も新しい分野だ。LPIC Level1では全く出題されない範囲の一つになっている。mdadmコマンドで、HDDなどを複数使い、冗長化などを行う。大企業は専用ソリューションを使ってしまうかもしれないが、中小企業ではコスト上そういった専用ソリューションは導入しにくい。そこでLinuxファイルサーバーを構築しRAID構築するという場面もあるだろう。
こういった内容が試験範囲となってくる。
LPIC201の勉強方法
以上を踏まえた上で、LPIC201の勉強方法に入る。
LPIC Level2はLPIC Level1を合格している人が受ける試験だ。コンピュータ基礎やLinuxのオペレーション基礎などは、既に理解しているという事を前提として話を進めることにする。
先ほども述べたようにぜひ実際にLinuxをインストールして実際にコマンドを叩きながら対策をしてほしい。
勉強に使うもの
参考書
LPIC level1とは違って、そもそも選択肢がほとんどない。LPIC Level1のときは「はじめての●●」系書籍があって、読みやすかった。しかし、Level2を受験するとき必要なのは、簡易な参考書ではなく、しっかりとした参考書だ。
おすすめなのは、やはりあずき本だ。
出典:翔泳社
LPICのテキストで売上No.1をうたっているだけあり、内容は充実している。これを読むだけでもLinuxのスキルは上がる。
分厚くて持ち歩きにくいのが難点なので、購入したら201と202に分けてしまえばいい。まずはとにかくあずき本を使って理解をすることだ。これがないと暗記地獄に陥ってしまい、勉強する意味がなくなる。
問題集
もう一冊は問題集だ。これも確実に購入してほしい。『Linux教科書 LPIC Level2 スピードマスター問題集』、必須購入書だ。
出典:翔泳社
問題集はこの一冊で間違いなく十分だ。他の本は不要だ。この二冊は購入してから勉強に入ろう。安くはないが、高いわけでもない。受験費用を考えたら、落ちることの方が影響が大きい。
LPIC Level2は合格率がガタッと落ちるため、入念に準備していくことだ。
2週間で受かるための勉強のポイント
勉強方法の基本は下記の順番になる。
基本的に勉強方法自体はLPIC Level1のときと変わらない、ただし理解と暗記の段階で実際にコマンドを打ち込む実践をしよう。
この時 manコマンド などでコマンドのオプションなどを確認しておくといいだろう、Linuxに触れる際 マニュアルやリファレンスといったものを参照する癖をつけておく。そうすることで、資格勉強としての知識以上の、網羅的な知識も身に付くからだ。
試験対策において定番だがやはり今回もチェックペンを活用しよう。ウィークポイントを抑えるに使うのではなく、「暗記用」にチェックをする。ページの大部分が緑になると思っていい。
理解している間にこれをやっておくと、暗記のときに時間を使わずに済む。効率的だ。
下記の2週間のステップは、1日2〜3時間程度時間を取れることを想定している。
Step1. 理解(6日間)
まずは理解に6日間使う。1日あたりの範囲はそれほど広くないので、Linuxを操作して体に覚えこませながら、暗記も少しずつ進めるといいだろう。暗記日は取っているが、ここだけで全てを記憶するのは大変だ。
LPIC201対策 1日目
キャパシティプランニング
まずは重要度の高いキャパシティプランニングを勉強してしまおう。
キャパシティプランニングはマシンのステータスを把握することが主だ。 vmstatなどの「実行結果の抜粋」などが多くみられる、注意深く抜粋をみながら、選択肢とてらしあわせていくことが必要になる。
コマンドの結果の出題が多いので、何度か実際に叩いてみて感覚をつかんでおくといい。丸暗記は大変だ。
LPIC201対策 2日目
Linuxカーネル
2日目は2分野勉強する。まずはLinuxのカーネルだ。
Linuxカーネルに関してはリリースカテゴリ、モジュール、make オプション patch、sysctlなどを重点的記憶する。また/proc/sys/kernelの下にあるファイル郡に直接パラメーターを指定できることを覚えておこう。
システムの起動
システムの起動に関してはLevel1にもある程度出題されている。 BIOSからシステム起動までの一連の流れは少なくとも把握しておくこと。これがさらに細かくなったイメージだと思ってほしい。ゼロから勉強するよりも大分気持ちが楽だろう。
最近ではGrub2に関して設定ファイルや、カーネルヘのパラメーター引渡しなど比較的重箱の隅的な内容が出題されることもある。
ランレベルの概念はRedHat系とDebian系では異なるので注意が必要だ。
LPIC201対策 3日目
ファイルシステムとデバイス
3日目はファイルシステムとデバイスに入っていく。Linuxの特徴の一つとして「多彩なファイルシステム」がある。代表的なものを上げると ext4 ext3 ext2 XFS JFS btrfs など。 ext4からext2にかけては互換性がある。
これもLPIC Level1でやった内容をさらに詳しくしたものだ。各ファイルシステムのフォーマット方法とファイルチェクコマンド、fstabの書式を重点的に学習すると効率的だ。
LPIC201対策 4日目
高度なストレージ管理
こちらはLPIC Level1で出てこなかった新しい試験範囲だ。ファイルシステム管理の延長線上にあると考えていいだろう。
RAIDに関してはその種類とmdadmに関して。LVMに関しては、LVM上にファイルシステムを作成するまでの手順は頻出だ。ただ、試験範囲が満遍なく出題されるので、暗記ボリュームは多い。
LPIC201対策 5日目
ネットワーク講師
主にifconfig iwconfig iwlist ip route dig ping などのコマンドを使った問題が出題されることが多い。 その他リモートログインに関して、sshdについても範囲に含まれる。
最近ではnet-toolsパッケージに収録されているifconfigなどのコマンドではなくiproute2に収録されているipを採用するディストリビューションも多くなっている。 そのためifconfigコンマドとipコマンドを両方覚える必要がある。これらもLPIC level1で出題された範囲だが、より詳細が問われる形だ。
これらはインターフェイスの確認や一時的なアドレスの割り当てなどの問題に出題される。 ルーティングに関しての問題も多いので重点的に勉強するといい。
LPIC201対策 6日目
システムの保守
最後はシステムの保守だ。この項目はソースコードからの、ソフトウェアインストールと、バックアップが主な要素だ。
$ tar -xvf hoge.tar.gz
$ ./configure
$ make
$ su
$ make install
この手順は絶対に覚えること、日常的にLinuxを使いパッケージ開発を行なう場合必ず目にする手順だ。
テストではこの手順のなかでhoge.tar.gzの解凍の仕方や、それぞれの手順においてオプション指定などが問われることがある。
バックアップに関しては バックアップの形態とバックアップ復元手順、メディア特徴を抑えておこう。リモートバックアップのためのrsyncはオプションを含めて暗記する。バックアップアプリケーションは Amanda、Bacula、BackupPC などがある。
ユーザーヘのメッセージ通知 ログイン前のメッセージは
/etc/issue
telnet経由でのログインの場合
/etc/issue.net
ログイン後のメッセージは
/etc/motd
などがある。
wallやtalkはログインしている最中のユーザーへメッセージを通知したい時に使う。
ここまで来れば一通りLPIC201の範囲をカバーしたことになる。ポイントを押さえたうえで暗記に入ってほしい。
Step2. 暗記(4日間)
7~10日目は、ここまでチェックした内容を頭に入れていく。もちろん、それまでにも暗記はしておくが、新しいことは入れずにひたすら暗記という時間だ。
チェックペンを使っているはずなので、赤シートを敷いて、ひたすら自分に問題を出し続ける。問いかけに対する反応の方が、暗記は早い。
ネットワークとストレージの管理などは覚える事柄が多い、参考書を活用しながら、実機で実際にコマンドを打ち込んで覚えていこう。
Step3. 問題演習(4日間)
11~14日目は、スピードマスターのテキストの問題を解いていく。まずは一通り問題を解く。そして、解けなかった問題を覚える。
すべてを理解するのが理想的なのだが今回は時間が限られている、なので全体を通して「半分ほど」解ければ合格範囲だ。解けなかった問題は、実機で確認しながら覚える。
問題の解説は気にしなくていい。そちらはあずき本を使う。スピードマスターで重要なのは問題だ。
問題文をある程度覚えてしまうぐらい反復するのがベストだ。それくらい似た問題が出るテキストなので、本当は丸暗記でもいい。まったく同じ問題が出たときに、回答ができるようにしておくのは必須だ。
ここまできたら、あとは体調を万全にして試験当日に臨もう。
試験当日
テストセンターに行き試験を受ける。
どうしても覚えられないコマンドや設定書式があったら、参考書、印刷物などを、試験前に見ておこう。試験開始後、試験官から渡されるボードとペンが渡される、なので、覚えたことを一気にそこへ書き出してしまおう、時間は十分にある。
体調は万全の状態で受けたい、朝早く試験を行う場合、エナジードリンクなどで脳に糖類を補給してから試験に望むのがよいだろう。
くどいようだが問題と解答項目を注意深く読もう、適切なものを選ぶのか不適切なものを選ぶのか?選択肢からいくつ選ぶのか?などだ、単純ではあるが、当日緊張していた場合、ケアレスミスをしてしまうことがある、気を付けて頂きたい。
試験が終わると、その場ですぐに合否が表示され、スコアが500点に達すれば、合格となる。スコアレポートを受け取って、試験終了となる。
LPIC202はすぐに受けた方がいい?
LPIC201とLPIC202では出題内容は大きく異なる。
しかしLPIC level1と同じく結論としては、なるべく早く受けた方がいいだろう。
人の記憶力とモチベーションは長続きしないことが多い、早期に202の対策を始めてしまった方が良い結果になるはずだ。202も別途詳細は解説するが、同じ程度の時間で受かる。
まとめ
LPIC201に関する内容が大体掴めただろうか?
LPIC201はLinuxエンジニアとしての「実践的なスキルの証明」に繋がる。ぜひチャレンジして、Linuxへの理解を深めてほしい。