エンジニアというと一般的にはプログラミングを書いている人、いわゆるシステムエンジニアをイメージする人が多いようだ。ご存知の通り、システムエンジニアは人材が常に不足気味で、育成の必要性が国を挙げて叫ばれている。
しかし、システムエンジニア以上に人材が不足しており、必要とされているのがサーバーエンジニアだ。サーバーを管理するという目に見えにくい仕事をしているためか、そもそも「なろう!」と思う機会がないのが大きいだろう。縁の下の力持ち的な存在で、業務自体もシステムエンジニアより安定していると言われている。
今日は未経験からサーバーエンジニアになるために有利な資格や、すでにサーバーエンジニアとして活躍している人に役立つ資格をまとめた。キャリアの設計に役立てて頂ければと思う。
目次
サーバーエンジニアの資格まとめ
サーバーの資格は大きく分けて、Linux系とWindows系に分かれる。それぞれLinuxサーバーとWindowsサーバーに対応した試験だ。現在サーバーに使われているのは、基本的にこの2種類しかないと思って頂いて構わない。
Windows系資格は、マイクロソフト社が提供しているベンダー資格となる。ベンダー資格とは、製品の提供元が作っている資格だ。Cisco社が出しているCCNAなどがそれに当たる。Windowsサーバーに関する資格はマイクロソフト社が提供している。
Linux系資格はベンダーニュートラル(中立)な資格とベンダー資格が存在する。それぞれ代表的なものをまとめている。
Linux系ベンダーニュートラル資格 LPIC
そもそも、Linuxとはサーバーによく用いられる無料でオープンソースOSだ。Windowsサーバーなどとは違い、OSの利用に費用がかからず、中身も自由に弄れることがLinuxを使う最大のメリットになっている。
LPICはLinuxの全般知識を問う資格試験だ。Linuxとは一言で言っても、実は様々なバージョンや種類がある。種類のことをディストリビューションと呼ぶが、CentOS、Ubunts、Linux Mint、Fedoraなど数え上げればキリがない。
LPICはベンダーニュートラルな試験として、多くのLinuxディストリビューションに共通する部分を中心に試験が構成されている。
日本でもっとも有名な資格試験の1つで、IT資格としては受験者も多い。サーバーエンジニアの現場においては、耳にする機会も多いだろう。
試験はLPIC level1、LPIC level2、LPIC level3と三段階に分かれている。
LPIC level1
LPIC level1では、簡単な運用やシステム管理ができる技術を問われる。LPIC101とLPIC102の試験があり、両方合格することでLPIC level1に認定される。
LPIC level2
LPIC level2ではサーバー構築をできる技術があるかどうかを問われる。こちらも2種類の試験、LPIC201とLPIC202に合格することにより、認定が行える。
LPIC level3
LPIC3は3つの試験に分かれている。LPI 300 Mixed Environment Exam、LPI 303 Security Exam、LPI 304 Virtualization & High Availability Examの3種類だ。
それぞれ、Windowsシステムとの混合環境運用、セキュリティ、クラウドというところでスペシャリティが発揮できるエンジニアだということを証明できる。
LPIC3では、いずれかの試験に受かるだけでLPIC level3の認定を受けられる。
LPICについては下記で詳しく解説している
Linux系ベンダーニュートラル資格 Linux Foundation資格プログラム
オンラインで受けられる実技テストで取れるLinux資格もある。それが Linux Foundation資格プログラムだ。ベンダーニュートラル資格といったが、実際には受験の際に、CentOS、openSUSE、Ubuntuの3種類から選ぶ形となる。
かなり実践的なテストになっている点が特徴だろう。試験は選択肢を選ぶものではなく、コマンドラインで実際の問題に対応するものとなっている。そういう意味でも良い試験だ。
また、ウェブブラウザとカメラ、マイクがあればいつでもどこからでも受けられるのも面白い。2段階のレベルがあり、受験費用はそれぞれ300ドルとなっている。
Linkedinに書き込むと評判がいいことから、米国での人気が高くなっている試験だ。
LFCS(Linux Foundation認証システム管理者)
基礎スキルを確認する試験。基本的なシステム管理スキルがあるかどうかを確認する試験になっている。運用管理やコマンド、ネットワークの基礎スキルに加えてVMなども試験に入ってくる。
LFCE(Linux Foundation認証エンジニア)
高度なエンジニアスキルが求められる試験だ。ネットワーク管理や、セキュリティ、HTTPサービス関連、メールサービス関連が範囲に当たる。
Linux系ベンダー資格 RHCE
RHCE(レッドハット認定エンジニア)は、レッドハット社が実施しているベンダー資格だ。Linuxはオープンソースだが、それを使って有料のOSを作成し、サポートと共に販売している企業がある。その代表格がレッドハット社だ。
実務に役立つスキルを確認する資格試験になっている。サーバーの設置やネットワークサービスやセキュリティなど分野も多岐にわたる。
RHCSA
RHCEの基礎資格となる。内容はユーザやプロジェクトの管理、プラットフォーム管理、イメージやノード、クォータなどLPIC level1の資格範囲と近い。
RHCSAが受かって、RHCAを受けることができる。
RHCA
ネットワークサービスやHTTP、DNSなどLPIC level2と同様サーバーの構築がメインの資格試験となる。難度は高いと言われており、LPICよりも合格率は低い。
30-40%程度と言われている。
エキスパート認定
さらに上位資格としてエキスパート認定資格が用意されている。パフォーマンスチューニングやクラスタリング、クラウドストレージなど様々な資格試験が用意されている。英語でしか受けられないものもあり、中には米国でのみ受けられる試験もある。
Linux系ベンダー資格 TurboLinux技術者認定制度(Turbo-CE)
Turbo-CE
Turbo-CEはRHCEと同じようにベンダー資格だ。ターボリナックス社が提供しているTurboLinuxの運用やサーバー構築の技術力を測る資格制度になっている。
Turbo-CEPro
Turbo-CEの上位資格で、エンタープラウズ分野での能力を測るテストになっている。受験にはTurbo-CEの資格が必要だ。
紹介はしたものの、日本では活動がなく、米国でも実施していない可能性が高いので他の試験を選択したほうが無難だろう。
Windows系ベンダー資格 マイクロソフト認定プロフェッショナル (MCP・MCSE)
多少費用を使ってでもWindowsサーバーを、というニーズは根強い。また、Windowsが仮想化に力を入れていることから、そのニーズも今後徐々に上がっていくことが予想される。価格競争力も出てくるだろう。
そのため、近年ではLinuxOS主体だったサーバーエンジニアの需要が、Widowsサーバー側にも普及してくる可能性がある。Windows系の資格にもぜひチャレンジしてほしい。
Windows系の資格は段階がいくつかあり、少し複雑だ。
MTA
MTA(マイクロソフトテクノロジーアソシエイト)はIT業界で就職するためのスキルの証明ができる試験だ。エントリーレベルの試験と言えるだろう。
幅広い角度からITの基本的な説明ができることを示す。オペレーティングシステムの構成やアプリケーションの管理、デバイスの管理などが試験範囲になる。
MCSA
MCSA(マイクロソフト認定ソリューションアソシエイト)は、システム環境の管理やトラブルシューティングを適切にできるエンジニアであることを証明する資格試験だ。
実務経験者や就転職を目指している方は、MCSAを取得することを目標にするのがいいだろう。MTAだけだと効力がほとんどない。新卒入社のタイミングであれば、しっかりと勉強をしてきたイメージがついて良いが、転職の際には役に立たないだろう。
MCSAの資格を取るためには複数の試験に合格する必要がある。410,411,412の3種類だ。
それぞれ、次のような内容になっている。
410 Installing and Configuring Windows Sever 2012
Windowsサーバー2012のインストールおよび構成に関する知識と技術を問う試験
411 Administering Windows Sever 2012
Windowsサーバー2012の管理・保守における知識と技術を問う試験
412 Configuring Advanced Windows Server 2012 Services
Windowsサーバーサービスの高度な知識や技術を問う試験。
これら、3種類合格すると、MCSAを取得できる。
MCSE
マイクロソフト社がIT技術者が所得すべきレベルとしているのがMCSE(マイクロソフト認定ソリューションエキスパート)だ。
推奨はされているものの、なかなか難度の高い試験になっている。5年程度の実務経験があってはじめて受かるような試験だ。就転職の際には厳しいが、スキルアップとして受験するには有益な資格だ。
同列のエキスパート資格としてMCSDがある。こちらはWindowsのクラウド環境を中心に問われる試験となっている。
MCSM
MCSMは最上位の資格となる。設計から構築までできる知識が必要だ。
MCSEの取得が必須条件で、LPICの試験体系などと似ている。LPIC level3よりも難度が高く、マスターという名前にふさわしい資格になっている。
まとめ
いかがだっただろうか?
資格がなければサーバーエンジニアになれないわけではないし、キャリアアップができないわけでもない。しかし、資格を持っていると手っ取り早くスキルの証明になるのも事実だ。サーバーの技術や証明が難しく、プログラミング系の資格よりもサーバー系資格は威力を発揮することが多い。
プロフェッショナルなサーバーエンジニアを目指すのであれば、ぜひチャレンジしてみてほしい。
(確認後削除頂いて大丈夫です)
LPICのレベル説明の△画像に2個所の誤表記が。
×レベル3 → 〇レベル2
×101 → 〇102
ご連絡ありがとうございます。修正させていただきます。(御礼の意味も込めて、残させていただきます)